じめじめ日和

読書や見た映画などの記録をしています。

神威

 

9月某日 京都文化博物館

ゴールデンカムイ展へ

 

2021年夏ごろの無料公開時に一気読みしてハマり、それ以降本誌を追いかけて物語の最後を見届けた。

展覧会に行き改めて、ゴールデンカムイありがとうの気持ちがあふれ出したので、いろいろ書いてみようと思った。

 

メンタルが弱い私にとって、アニメや映画・漫画は体力を使うエンターテインメントでもあった。楽しんでいる一方で、志半ばに散っていった人や、仲間を失うキャラに感情移入してつらくなったり、恐怖にとらわれてしまう性質で、友人に何か勧められたときまず聞くことは「それ平和?人死ぬ?」だった。

もちろん大事なのは生死だけじゃないんだけど、それが最初の関門みたいなものだったので。だからどれだけヒットしていても、さらには見たいという気持ちがありながらも、鬼とか巨人と戦うやつは見る決意ができなかった。

 

それがどうしてゴールデンカムイに触れることになったかは、またこれも人に勧められたからでしかなかった。概要を詳しく知らずに読み始めて、最初は驚いた。ヒグマが怖い。ちゃんとグロい。脳汁出てる。ヒグマこわい。俺は騙されたのか…。(内容をよく調べずに読み始めただけ)

それでもなんとなく目が離せなくなって読み進めた。主人公が圧倒的不死身だったのは私にとって唯一の安息だった。そしてアシㇼパの言葉

あいつの強さは死の恐怖に支配されない心だ

(3巻18話)

このセリフに救いを感じた。私自身はあらゆる恐怖にとらわれやすい。戦争をも経験してきた不死身の杉元と、お豆腐メンタルの私ではなにもかもが違いすぎる。それでもなぜか、この言葉には希望を感じていた。

何がよかったのか、この言葉がきっかけで、最後まで読む決心がついた。それから少しずつ幅が広がり、今まで読むのを躊躇していた作品なども読むようになった。

もちろんショッキングな展開には気落ちしたり、体力を消耗しすぎることは変わらないけど、たくさんの作品に出会うきっかけになったのがゴールデンカムイだった。

 

本誌を追いかけるのは初めての経験で、楽しくもあり、更新されていくのが怖かったりもした。単行本も買って繰り返し読み、アニメも見て、いつも同じところで泣いて、展でも泣きそうだった。

ちなみに展で面白かったのは野田カムイのコメント。物語の書き手というより伝承者のような、ある意味他人事のような解説が不思議で魅力的だった。

展示されている物がみんな先生の私物だったのも、どんな思いで作品に向き合っていたかを物語っているようで、じっくり見ることができて本当によかった。あとみんなが口々に漏らしていた感想が「絵、ウマ」だったの忘れられない。ほんとそれ。

 

アニメは4期に入り、こちらも物語の終盤。完結が迫っている。アニメが完結したらとうとう全てが終わってしまうような気がして怖い。4期始まるね!と友人は楽しそうだったけど、始まったら終わっちゃうじゃん!!とかわけのわからないことを言ってしまうほどには終わりが怖い。

追いかけてきたのはたった1年、だけどその存在が私の中では大きすぎて、寂しい。でもここまで夢中になれたのは幸せだし、これからもずっと大好きな作品であり続けると思います。

ありがとうゴールデンカムイ、ありがとう野田先生。